徹底比較
腰痛治療おすすめ13選
自分に一番合う治療法をみつけよう
日本国内で腰痛に悩む人口は約3000万人とされ、多くの方が腰の痛みや痺れを抱えています。
腰痛には大きく分けて2つのタイプがあり、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの明確な所見から病名がつけられる特異性腰痛と、原因が特定できない非特異性腰痛があります。今回は特異性腰痛にフォーカスして、治療法をご紹介します。
近年、医療技術の発達により多くの治療法が開発され、治療の選択肢が増えました。しかし、自分に合った治療法を選ぶには、詳しい治療内容、リスクや費用、回復までの日数などの情報を把握する必要があります。
このサイトでは、腰痛治療法を3つのカテゴリー 【穿刺針治療】 【低侵襲インプラント治療】 【外科的手術】 に分け、それぞれの特徴を紹介しています。13種類の治療法の詳細をわかりやすくまとめましたので、自分に一番合う治療法を見つける参考にしてください。
治療の特徴別に比較する
治療の特徴別に比較する
メスを使わない治療
穿刺針治療の特徴
穿刺針治療の特徴
穿刺針治療とは
局所麻酔下で細い針を用いて、椎間板の損傷箇所に薬剤や液体インプラントを投与する治療法です。
従来の外科手術と違い、メスを使わず穿刺針で炎症の根本原因に直接アプローチをおこない症状を改善する、身体への負担が非常に少ない先進的な治療法です。治療時間が短く、ほとんどの穿刺針治療は1日で完結するため日帰りが可能です。
穿刺針治療比較表
セルゲル法 | PRP法 | PODD法 | 幹細胞治療法 | ヘルニコア | PLDD法 | |
---|---|---|---|---|---|---|
治療時間 | 10分 (1箇所) |
20~30分 | 10分 (1箇所) |
30~60分 | 20分 | 15~20分 (1箇所) |
麻酔 | 局所麻酔 | 局所麻酔 | 局所麻酔 | 局所麻酔 | 局所麻酔 | 局所麻酔 |
創傷 | 1㎜以下 | 1㎜以下 | 1㎜以下 | 1㎜以下 | 1㎜以下 | 1㎜以下 |
入院期間 | 日帰り | 日帰り | 日帰り | 日帰り | 1~2日 | 日帰り |
通院の必要 | 基本的に 必要なし |
基本的に 必要なし |
基本的に 必要なし |
あり | あり | 基本的に 必要なし |
保険適用 | × | × | × | × | 〇 | × |
治療費用 | 132万円~ (税込) |
132万円~ (税込) |
33万円~ (税込) |
70万円~ (税込) |
5~10万円 (税込) |
15~40万円 (税込) |
日常生活への 復帰 |
翌日 | 翌日 | 翌日 | 翌日 | 翌日~翌々日 | 翌日 |
セルゲル法
セルゲル法とはDiscoGel(ディスコジェル)という液体インプラントを損傷箇所へ注入することで、椎間板周辺の炎症抑制と損傷箇所の修復・温存が期待できる治療法です。
個人差はありますが、治療後1~3カ月で大きな効果が期待できるといわれています。
効果が期待できる疾患
- ・椎間板ヘルニア
- ・脊柱管狭窄症
- ・椎間板変性症
- ・椎間関節症
- ・すべり症
- ・分離症
- ・分離すべり症 など
セルゲル法のメリット
- 日帰り治療ができる(治療後1~2時間ほど安静にした後、帰宅)
- 治療時間が1箇所10分程度と短く身体への負担が少ない
- 局所麻酔で針を用いた治療のため傷跡がほとんど残らない
- 椎間板の修復が可能で再発リスクが極めて低い
- 椎間板にインプラントとして残りクッション機能として作用する
- 外科手術後に再発してしまった場合でも治療が可能
- 高齢の方でも治療が可能
PRP法
(多血小板血漿)
ご自身の血液から抽出したCPG因子を損傷箇所に注入し、自己修復力をサポートする治療法です。
個人差はありますが、一般的に1週間~6カ月で組織修復が起こり、治療後3~12カ月で大きな効果が期待できるといわれています。
効果が期待できる疾患
腰椎症
(椎間板変性症など幅広い適応がある)※医療機関による
※医療機関による
PRP法のメリット
- 日帰り治療ができる(治療後1~2時間ほど安静にした後、帰宅)
- 治療時間が1箇所20分程度と短く身体への負担が少ない
- 局所麻酔で針を用いた治療のため傷跡がほとんど残らない
- アレルギー反応や拒絶反応のリスクが低い
- 高齢の方でも治療が可能
PRP法のデメリット
- 通常、複数回の治療が必要
- レントゲンやMRI等の画像上では、治療で入れた物質が確認できない
- 保険適用外なので費用の自己負担が大きい
幹細胞治療
幹細胞治療とは、自己由来の幹細胞を利用して組織の修復や再生を促進する治療法です。
個人差はありますが、治療後1~6カ月で効果が期待できるといわれています。
効果が期待できる疾患
- ・腰椎症
- ・椎間関節障害
幹細胞治療のメリット
- 日帰りで治療がができる
- 治療時間が1箇所30分程度と短く身体への負担が少ない
- 局所麻酔で針を用いた治療のため傷跡がほとんど残らない
- 副作用が少なく、安全性が高いとされている
- 高齢の方でも治療が可能
幹細胞治療のデメリット
- 治療後の通院が必要
- 通常、複数回の治療が必要
- レントゲンやMRIで等の画像上では、治療で入れた物質が確認できない
- 保険適用外なので費用の自己負担が大きい
PODD法
(経皮的オゾン治療)
PODD法とは、椎間板髄核内にオゾンを注入し、オゾン酸化により椎間板ヘルニアの容量を縮小させ、神経への圧迫を軽減する治療法です。
個人差はありますが、治療後1~3カ月で効果が期待できるといわれています。
効果が期待できる疾患
- ・椎間板ヘルニア
- ・脊柱管狭窄症
- ・椎間板変性症
- ・椎間関節症
- ・すべり症
- ・分離症
- ・分離すべり症 など
セルゲル法のメリット
- 日帰り治療ができる(治療後1~2時間ほど安静にした後、帰宅)
- 治療時間が1箇所30分程度と短く身体への負担が少ない
- 局所麻酔で針を用いた治療のため傷跡がほとんど残らない
- 外科手術後に再発してしまった場合でも治療が可能
- 高齢の方でも治療が可能
セルゲル法のデメリット
- レントゲンやMRIで等の画像上では、治療で入れた物質が確認できない
- 保険適用外なので費用の自己負担が大きい
ヘルニコア
(椎間板内酵素注入療法)
ヘルニアとは、コンドリアーゼという薬剤を局所麻酔下に椎間板に注入することで椎間板内の髄核を化学的に溶かし、神経への圧迫を緩和する治療法です。
個人差はありますが、効果を自覚するまでに2~4週間必要で、その後3か月程度かけて効果が期待できるといわれています。
効果が期待できる疾患
椎間板ヘルニア
(後縦靭帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニア)
ヘルニコアのメリット
- 治療時間が1箇所30分程度と短く身体への負担が少ない
- 局所麻酔で針を用いた治療のため傷跡がほとんど残らない
- 神経に直接触れないため神経損傷や合併症のリスクが少ない
- 保険が適用されるので費用を抑えられる
ヘルニコアのデメリット
- 1泊2日の入院が必要
- コントリアーゼ(薬剤)によるアレルギー反応のリスクがある
- 生涯に1度のみと、投薬に制限がある
PLDD法
(経皮的レーザー椎間板減圧術)
PLDD法とは、腰椎椎間板ヘルニアの原因である椎間板内にレーザーを照射し一部分を蒸発させ縮ませることで神経の圧迫を弱める治療法です。局所麻酔下で針を用いた治療なので、ほとんど傷跡が残らず早期回復が期待できるといわれてます。
効果が期待できる疾患
- ・椎間板ヘルニア
PLDD法のメリット
- 日帰り治療ができる(治療後1~2時間ほど安静にした後、帰宅)
- 治療時間が1箇所30分程度と短く身体への負担が少ない
- 局所麻酔下でメスを使用せず治療ができる
- 高齢の方でも治療が可能
PLDD法のデメリット
- レーザーで直接、椎間板を焼灼すので椎間板が傷む可能性がある
- 稀に熱刺激で反応性神経根炎や椎間板炎または感染症を引き起こす可能性がある
- 保険適用外なので費用の自己負担が大きい
外科手術に代わる先進治療
低侵襲インプラント治療の特徴
低侵襲インプラント治療の特徴
低侵襲インプラント治療とは
最近では、医療技術の進歩により、外科的手術に代わる日帰りで治療が可能な低侵襲手術が増えています。
内視鏡やレーザー、スペーサーを用いた低侵襲治療法は、傷跡が非常に小さいものが多く、従来の外科手術と比較して身体への負担を大幅に軽減できます。また、治療後の回復が早く日常生活への早期復帰も期待できる治療法です。
低侵襲インプラント治療比較表
フローレンス法 | Qフローレンス法 | |
---|---|---|
主な適応 | ・腰椎は安定しているが、 脊柱管狭窄や軽度なすべりがある方 ・間欠性跛行のある方 |
・腰椎が不安定な方 ・症状が常にある方 |
治療時間 | 30分 (1箇所) |
30分 (1箇所) |
麻酔 | 局所麻酔 + 静脈麻酔 | 局所麻酔 + 静脈麻酔 |
創傷 | 1~2㎝ | 2~3㎝ |
入院期間 | 日帰り | 日帰り |
通院の必要 | 基本的に必要なし | 基本的に必要なし |
保険適用 | × | × |
治療費用 | 154万円~ (税込) |
176万円~ (税込) |
日常生活への 復帰 |
翌日 | 翌日 |
フローレンス法
(腰椎間接的除圧術)
フローレンス法とは、チタン製の棘突起スペーサーを用いて行う、脊柱管狭窄症や軽度なすべり症に対するリスクの少ない低侵襲治療です。
局所麻酔下でスペーサーを挿入し、狭くなった脊柱管を広げることで椎間板の突出を抑え、黄色靭帯の肥厚を軽減し症状を改善します。
効果が期待できる疾患
- ・脊柱管狭窄症
- ・椎間板性疼痛のある椎間板ヘルニア
- ・椎間関節障害(椎間関節炎、椎間関節症)
- ・軽度な変性すべり症
- ・後方すべりを伴う椎間板変性症
フローレンス法のメリット
- 日帰り治療ができる(治療後2時間ほど安静にした後、帰宅)
- 治療時間が1箇所30分程度と短く身体への負担が少ない
- 局所麻酔+静脈麻酔での治療のため、身体への負担とリスクが少ない
- 骨を削らず靭帯等を損傷しないため早期回復が期待できる
- 外科手術後に再発してしまった場合でも治療が可能
- 高齢の方でも治療が可能
Qフローレンス法
(腰椎間接的固定術)
Qフローレンス法とは、チタン製の棘突起スペーサーを用いて行う、脊柱管狭窄症や軽度~中度のすべり症に対するリスクの少ない低侵襲治療です。
局所麻酔下でスペーサーを挿入・留置することで、神経の圧迫や椎体の不安定性を解消し、症状を改善します。一般的な固定術に近 いですが、骨を削ったり神経を直接触ることがないため、従来の方法と比較して神経を傷つけるリスクを軽減します。
効果が期待できる疾患
- ・脊柱管狭窄症
- ・椎間板性疼痛のある椎間板ヘルニア
- ・椎間孔狭窄症
- ・軽度~中度の変性すべり症
- ・後方すべりを伴う椎間板変性症
- ・腰椎不安定症
Qフローレンス法のメリット
- 日帰り治療ができる(治療後2時間ほど安静にした後、帰宅)
- 治療時間が1箇所30分程度と短く身体への負担が少ない
- 局所麻酔+静脈麻酔での治療のため、身体への負担とリスクが少ない
- 骨を削らず靭帯等を損傷しないため早期回復が期待できる
- 外科手術後に再発してしまった場合でも治療が可能
- 高齢の方でも治療が可能
手術で痛みの原因を取り除く治療
外科的治療の特徴
外科的治療の特徴
外科的治療とは
腰部を病変に応じて切開し、神経の圧迫箇所の除去や神経の通り道を広げることで症状を改善する治療法です。必要に応じてロッドやスクリューで腰椎を固定したり、自身の骨や人工骨を移植することもあります。
この手術により痛みの軽減や改善が期待できますが、全身麻酔、切開、骨を削って固定器具を入れるなど身体的な負担が大きい治療法となります。
外科的治療比較表
PELD法 | MED法 | MD法 | 腰椎後方除圧術 | 脊椎固定術 | |
---|---|---|---|---|---|
治療時間 | 60~120分 | 40~60分 (1箇所) |
60~120分 | 60~90分 | 60~120分 |
麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 |
創傷 | 約7㎜ | 約1㎝ | 3~5㎝ | 約4㎝ | 約4㎝ |
入院期間 | 0~2日 | 4~7日 | 2週間 | 2週間 | 1カ月 |
通院の必要 | あり | あり | あり | あり | あり |
保険適用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
治療費用 | 20~25万 (税込) |
25~30万円 (税込) |
15~30万円 (税込) |
25~40万円 (税込) |
30~60万円 (税込) |
日常生活への 復帰 |
翌日~翌々日 | 退院後 | 退院後 | 退院後 | 退院後 |
PELD法
(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)
PELD(PED)は、直径6mmの極細操作管の中に3mmの小鉗子を挿入し、ヘルニアを摘出する手術です。
局所麻酔による手術で、手術時間は1時間ほどです。切開が小さく、傷口は6mmのため小カットバンのみで止血できます。抜糸も必要ありません。
手術当日に歩行開始でき、翌朝退院となります。
効果が期待できる疾患
- ・椎間板ヘルニア
PELD法のメリット
- 日帰り又は短期間の入院で治療ができる
- 切開が1cm程と小さく術後の早期回復が期待できる
- 治療は内視鏡下で行われるため神経や周囲の組織へのダメージが軽減できる
- 保険が適用されるので費用を抑えられる
PELD法のデメリット
- 手術前後に通院が必要
- 特定のタイプの椎間板ヘルニアや重度の症例には適応できない場合がある
- 治療の際、1回で2箇所以上の手術ができない
MED法
(内視鏡椎間板切除手術)
MED法とは、椎間板ヘルニアでも中~重度に適応される術法で、背部を2cm程切開し内視鏡を使用して椎間板ヘルニアを摘出します。外科手術としては1時間程と比較的短く、筋肉の剥離も少ないため手術後の回復が早く、日常生活や仕事への早期復帰が期待できます。
効果が期待できる疾患
- ・椎間板ヘルニア
MED法のメリット
- ほぼ全てのヘルニア(中度~重度)に対応可能
- 切開が小さく従来の手術と比較すると身体への負担が少ない
- 高齢の方でも治療が可能
- 保険が適用されるので費用を抑えられる
MED法のデメリット
- 手術前後に通院が必要
- 4日~1週間の入院が必要
- 全身麻酔のため合併症のリスクがある
MD法
(顕微鏡下椎間板摘出術)
MD法とは、椎間板ヘルニアの中~重度に適応される術法で、全身麻酔下で3cm~5cmほど切開し、顕微鏡にて突出したヘルニア部分を切除する治療法です。
他のすべり症や脊柱間狭窄症などの合併症にも対応が可能です。
効果が期待できる疾患
- ・椎間板ヘルニア
MD法のメリット
- 適応疾患に最も効果が望める治療法
- 痛みの原因を取り除くため、症状の改善を早期に感じられる
- 保険適用で費用を抑えられる
MD法のデメリット
- 手術前後に通院が必要
- 約2週間の入院が必要
- 全身麻酔のため合併のリスクがある
- 切開を伴うため、傷が残り回復までに時間がかかる
腰椎後方除圧術
腰椎後方除圧術とは、脊柱管狭窄症の主な手術法の一つで、脊柱管が狭くなって神経を圧迫してる部分の椎弓や黄色靭帯を部分的に切取り脊柱管を広げる手術です。
効果が期待できる疾患
- ・脊柱管狭窄症
- ・すべり症
腰椎後方除圧術のメリット
- 適応疾患に最も効果が望める治療法
- 痛みの原因を取り除くため、症状の改善を早期に感じられる
- 保険が適用されるので費用を抑えられる
腰椎後方除圧術のデメリット
- 手術前後に通院が必要
- 約2~3週間の入院が必要
- 全身麻酔のため合併症のリスクがある
- 骨や靭帯の切除を伴うため、身体への負担が大きい
- 切開を伴うため、回復までに時間がかかる可能性がある
脊椎固定術
脊椎固定術とは、痛みや痺れの原因となっている神経の圧迫を椎骨の一部や椎間関節を切除することで症状を緩和させる治療法です。
骨を切除することで脊椎が不安定になるため、患者さんの骨又は固定用の器具(ロッド・スクリュー)を使用して椎骨を固定します。
効果が期待できる疾患
- ・脊柱管狭窄症
- ・すべり症
脊椎固定術のメリット
- 適応疾患に最も効果が望める治療法
- 痛みの原因を取り除くため、症状の改善を早期に感じられる
- 保険が適用されるので費用を抑えられる
脊椎固定術のデメリット
- 手術前後に通院が必要
- 約2~3週間の入院が必要
- 全身麻酔のため合併症のリスクがある
- 骨や靭帯の切除を伴うため、身体への負担が大きい
- 切開を伴うため、回復までに時間がかかる可能性がある
自分に合う治療法を見つけて あの頃の生活を取り戻そう
これまで、様々な腰痛治療をご紹介しましたが、近年の医療技術の進歩により先進的な治療法が登場し、患者様は自分に最適な治療法を選択できる時代となりました。
治療を選ぶポイントとして、ご自身の健康状態、生活スタイル、費用面など考慮すべき点は多岐にわたるかと思います。
生活の質を著しく下げてしまう「痛み」から解放され、より快適な生活を取り戻すために、自分に一番合う治療法を見つけましょう。